irisuinwl’s diary

サークル不思議(略)入巣次元の、数学や技術的なことを書きます。

コミケの感想とやったことのまとめ

C95参加してきました。とても面白く、色々と感じることがあったので記録しておきます。 この記事では①感想、②創作活動とソフトウェア開発との類似性、③創作活動で何を工夫したか、を書いていきます。

参加した結果としては、30部刷り、12時前に完売することができました。 様々な人とも話すことができ、創作活動や技術者としての刺激となりました。ブースに来て頂いた皆様、誠にありがとうございます。

③はなぜ自分が新刊を印刷でき、完売できたか、楽しんで参加できたかを考えながら書いてます。参考になればと思います。

 

①感想を書きなぐるパート

では、書きたいことを雑多に書いていきます。

コミケのサークル側として参加してみてめちゃくちゃ面白かったです。

それまで9月から初めて12月まで、本気で創作活動をする楽しさを実感しました。

そして、本を多くの人に取ってもらうためにブースをどう飾るか真剣に考え、当日周りのサークルさんや来てくださった様々な人たちと話すことが出来、創作する強大なエネルギーを頂きました。
創作をする、モチベーションを高める、コミュニティを知る、という一つの組織と創作活動のサイクルを実感することができました。これが毎回何十万人も来場するイベントか…

正直、SB69×数学という第一線と言うほど有名でないジャンルと評論の中でもニッチすぎる数学というジャンルでマジで5部も売れないんじゃないかって思ってたのですが、様々な人に手に取って頂き、とても嬉しかったです。

この様々な人に来ていただいた期待を裏切らないようにこれからも真摯にSB69と数学に向き合っていきたいですね。

ちなみに僕は大学院卒業して社会人になるまではコミケに行ったことがなく、SB69にハマって企業ブースへ足を向けて、そこから評論同人とSB69の同人にハマって、今回サークル参加に至りました。
着々とSB69とクリクリに人生変えられていますね。
JCアイドルに人生を変えられる男…

②創作とソフトウェア開発の類似性

さて、今回の参加を通じて、同人活動とソフトウェア開発は似ているように感じました。

  • プロットを練る段階 -> BD, FDなど
  • 実際に作品の内容を執筆する -> PG
  • 推敲 -> MT, CTなどのテスト
    • 自動推敲システム -> テスト自動化
  • 同人誌の印刷, 即売会のためのブース準備 -> システムの構築
    • 一枚POPの作成、pixivサンプルの作成 -> 拡販資料の作成協力
    • 印刷された本 -> オンプレのソフトウェア
    • boothなどで販売する電子ブック -> クラウド

などの類似を感じました。

なので、ウォーターフォール開発、アジャイル開発、より広範なディシプリンアジャイルデリバリー(DAD)などの手法が活用できるように感じました。

前々から、絵を描く工程(ラフ -> 下書き -> 線画 -> 色、厚塗り・グリザイユ画法)を見ているとソフトウェア開発に似ているなぁ…と思っていました。 なので、コミケに出る決意をしたときから、自分がやりやすいスクラムをベースに、プロセスを改善していけるDADをしていこうと考えました。

今回、その手法で脱稿したので有効さは示せたと思います。

③同人誌作成で工夫したこと

コミケ参加に向けて取り組んだことは以下です。

  • 何を作るか、何が価値か、コンセプトを明確にする(重めのプロジェクトではインセプションデッキとか開発計画とか作るけど、今回は方向づけの文書として、簡易的な箇条書きの文書を選択しました。)
    • SB69のクリティクリスタがAI開発をするストーリー形式の入門書。
    • AI開発を行うための必要な数学(初等微分積分、行列解析)を始め、機械学習の手法(ロジスティック回帰)までを解説する。
    • ロージアちゃんはJCなので、ゼロから始めて機械学習の基礎を理解できる本を目指す。 
  • 開発ツール、マネジメントツールを選択する
    • バージョン管理にgit,コードホスティングサービスにbitbucketを利用
    • タスク管理: trello
    • 組版ソフト: tex
      • 前作(ろーほるすーがくれっすん)の経験とコードがあるので、それを流用する。
  • スクラムで行うマネジメントプロセス を実施する(参考: スクラムの基本概念から拡張Tipsまでを俯瞰できる、「非公認スクラムチェックリスト by Henrik Kniberg」 を更新しました。 - kawaguti’s diary
    • イテレーションの計画を行う(2週間にどれだけTrelloのタスクを消化するかを計画する、この2週間でこれだけ終われば本ができるタスクを選択する)
    • ベロシティを計測する(2週間でどれだけのものを作れるかをgitのcommit履歴から概算する)
    • 2週間が終わったあとに、振り返りを行う。
      • この2週間で何を作れたかを確認する。
        • 進捗は遅延しているのか、遅延していたらスコープを調整する必要があるか? など。
          • スコープの調整はコンセプトを明確にしているとやりやすかった。
      • この2週間で「何をしたらよかったか」、「何で問題が発生したか」、「今後その問題が発生しないようにどう対策を打つか」というKPT( KPTとは | ふりかえりのフレームワーク・進め方・成功のコツ・ポイント | ビヨンド(Beyond) )を行う
        • 例えば、「良かったこと: 表紙が可愛い」、「問題: 思ったより会社の残業が多くて作業に取れる時間がなかった」→「解決策: 有給を取る」,「問題: 添削に取れる時間がない」→「解決策: 友達に添削してもらう」などです。
  • 同人誌の宣伝
    • SNSコミックマーケットに参加してこういう本を出す広報し、コンセプトに対してどれだけ価値を生むかを測る。
    • SNSで進捗を定期的に広報し、自分の出す本のコンセプトは価値があるかを測る。
    • twitterのアンケート機能を使って顧客の声を取り入れる
  • 当日の準備
    • 自分の経験だと評論島なんかはその場でサークルを見て、主さんと話してその場で買うことが多いので、スペースの設営は重要だと考えました。

お金の話と売れたときの記録

現実的なお金の話です。お金の話は辟易されやすいのですが、参加する人の参考になるかと思ったので記載します。

  • 支出
    • 印刷費(オンデマンド印刷,オフセット表紙オプション, B5 98P, 30部 印刷所:太陽出版さん): 37000円
    • サークル参加費: 10000円
    • 雑費: 10000円
      • ポスター立て、見本立て、テーブルクロス、金庫、テープやハサミ、交通費など
    • 絵師さんへの依頼料: 40000円
      • 表紙&裏表紙: 20000円
      • 挿絵 & 顔面: 5000円×4
  • 収入:
    • 27000円(頒布)
  • 差額: 計算したくない…大体-70000円...

結論: 一人月使ってるって考えたら支出は100万くらいかかることになるし、誤差の範囲でしょ(てきとう)

事前情報と売上推移

何かのデータに使えると思ったので記録しました。スマホから簡単入力できるようにしたいですね。

10:10, 10:26, 10:28, 10:34, 10:47, 10:50, 10:51, 10:52, 10:54, 10:54, 11:06, 11:17, 11:18, 11:18, 11:19, 11:21, 11:22, 11:24, 11:24, 11:24, 11:28, 11:28, 11:29, 11:34, 11:38, 11:39, 11:39, 11:44

時系列解析については分からないけど、事前のパラメータから売上時系列の確率過程が生成される感じでモデリングされないかな? みたいなことを考えました。

終わった後のKPT

コミケを振り返って次に活かしたKPTをしたいと思います。きわめて個人的な話です。

  • K:
    • 色々な人と交流できてよかった。やはり一人で作っているだけでなく様々な人の言葉を対面で聞くことがモチベーションの維持、自分の創作力の向上につながると感じた
    • ちゃんと本を完成できてよかった。
    • マネジメントのツールを使えてよかった。ベロシティ、タスク管理、コンセプトを定める、KPTイテレーションなどをちゃんと回せた
    • 印刷所様にも問題なく入稿出来てよかった。次は早割りだ!
    • 会社に週4日勤務になる有給が取れた。毎日定時で買えるように頑張った。毎日が充実していた。
    • 完売できた! やはり表紙とコンセプトが良かったのかな…人の心を読みながらマーケティングは難しい…
  • P&T :
    • P: 頒布物シールは表紙の裏に貼らないといけないことを知らずに表紙に貼ってしまった(スタッフさんすみません…)
      • Try: 次からちゃんと裏に貼る
    • P: 流石に90Pは説明に時間かけすぎたか…? ベクトル・行列・微分に90Pは読むのが大変な気がした。し、印刷費も高い。頒布価格も高くなってしまって人に本を取ってもらえなくなってしまう。
      • Try: 次は50Pくらいに抑えたい…しかし、本当に表現したいものは増えても表現すべきだけど、なるべく説明は簡略化する。
    • P: 最初の数か月マジでやる気起きなかった。作ってみて定期的な活動がモチベーション維持に大切だと思った。考えるより手を動かそう
      • Try: 自己研鑽には健全な生活が大切なので、健全な日常生活を維持して、これから自己研鑽ルーチン(プロコンとかkaggle, 絵の練習とか)を維持する。本が出せたね良かったねではなくて、本出せた良かった行動を維持する。
    • P: ↑の結果当初作りたかったものの数%しか実現できなかった。積分や確率、位相を考慮した実数論が書けなかった。
      • Try: いりす先生の次に期待
    • P: 30部刷ったけど見本も売っちゃったから手元に自分の本以外残らんかった…
    • P: しょばろの話できなかった、しょばろ×数学で完全に数学の方の脳みそになってた。
      • ちゃんと色々な人が来てもお話できるように日頃から人と話すようにしなきゃなって…
    • P: 売り子の一人風邪でぶっ倒れて、もう一人寝坊して、午前一人売り子することになってあんまりスペース回れなかった。
      • Try: 売り子候補もう一人追加して、リスクヘッジする。
      • Try: スペース回れなかったのは、前日設営の準備とかで忙しいのが問題な気もするし、次は家にプリンタ買って設営準備はコミケ始まる前に終わらせる。
    • P: 文章書くのに忙しすぎて絵が描けなかった。
      • Try: 夏コミまで絵の練習をする。
    • P: boothの出品や、pixivのサンプル、宣伝の行動が遅すぎた
      • Try: pixivは開催一週間前の休日には上げる, boothは出品できるように予めページを作っておく。
    • P: 全体的に段取り悪すぎた。何をすればいいかわからなかった。
      • Try: サークル参加する際の当日までにやることリストを作る。
    • P: 値札手書きはダサい…
      • T: ちゃんと印刷する。
    • P: 前日コンビニで名刺印刷して切る作業が苦痛すぎたな
      • T: ちゃんと印刷所さんにお願いしたほうがいいのでは

おわりに

弊サークルは技術書同人ですが、同人誌の完成にはプロジェクトマネジメント、経営学の知識が大きくかかわり、同人誌の宣伝にはマーケティング行動経済学などが関わってるなと漠然と感じました。 今年のコミケは技術者としての研鑽も忘れることなく、それだけでなく経営学マーケティング行動経済学などの社会科学の分野にも目を向けながら、活動していきたいです!

この記事は思いついたら順次追加していきます。