irisuinwl’s diary

サークル不思議(略)入巣次元の、数学や技術的なことを書きます。

M.Davis Applied Nonstandard Analysisメモ①

最近、M.DavisのApplied NSAを読んでます。

NSA+MLで同人誌を出しましたが、このままその方向で進めるなら、数理論理的、モデル理論的な扱い方を知らないのは困るな、と思ったので読んでます。

 Chapter1.3 individual and superstructureについてのメモです。
(これは、英語で読むより日本語wikiを見たほうがニュアンスが伝わりやすいと思いました。 cf: 超準解析 - Wikipedia

 

Individualとは

論理構造を構成するときにIndividualな集合を用意します。

ここでIndividualな集合Sとは、 \forall x\in Sについて、 \forall y,y\in xとならない集合を言います。例えば実数集合 \mathbb{R}はindividualですが、集合の集合 X=\{\{1\},\{2\},\{1,2\},\emptyset\}はindividualにはなりません。なぜならば \exists 1 \in \{1,2\}\in Xなので。

色々な集合(集合の集合を含め)を考えるため、集合の元だけとなる、 \inについて最も`下`の集合を明示しているのだと思います。

transiveとは

続いて,individualな集合 Sについて、transiveな集合と \hat{S}を考えます。

transiveな集合 Aとは、任意の x\in Aについて, x\in S \vee x\subset Aとなることを言います。

ここで、 \forall y\in xについて y\in Aとなります。なぜならば、 y\in xとなる yについて考えると、Sはindividualから x\in Sでないです。よって、 y\in x \Rightarrow x\not\in S \Rightarrow x\subset A,よって y\in A.

つまり、transive(推移的)とは \inについて推移的( x\in A,y\in x \Rightarrow y\in A)であることを言っております。

では、 \hat{S}の定義ですが、

\[
S_n = \left\{
\begin{array}{ll}
 S & n=0 \\
 S_{n-1} \cup P(S_{n-1}) & n \geq 1
\end{array}
\right.
\]

として、 \hat{S}=\bigcup S_iとします。ここで、 S_i \subset S_{i+1}なので、集合論的に \hat{S}=\lim_i S_iとなってます。たとえばindividualな S=\{1\}としたら、

\[
P(S)=\{\{1\}, \emptyset\},P(P(S))=\{ \{\{1\}, \emptyset\}, \{\{1\}\}, \{\emptyset\},\emptyset\}
\]

となり、

\[
S_0=S=\{1\},S_1=\{1,\{1\}, \emptyset\},S_2=\{1,\{1\}, \emptyset,\{\{1\}, \emptyset\}, \{\{1\}\}, \{\emptyset\}\},...
\]

 となります。この具体例を考えると、 S_1はtransiveになっています。 x\in S_1 x=\emptyset, \{1\}ならば \emptyset \subset Aであり、 x=1ならば、 x\in Sです。よって、 \forall x, x\in A\rightarrow x\in S \vee x\subset Aです。

特にどんな Sについても S_nがtransiveであることが導かれます。(Applied NSA, 1.3 LEMMA 1)